退職祝い|一番喜んでもらえる物と考えて

昨年、

妻がスーパーのパート仕事をやめました。子どもができて、家計を助けるために妻がやってくれていた仕事です。

今はもう、その子どもたちは独立して、もうパートを続ける必要がなくなっていました。けれど妻は「仕事はつづけていたい」と、やめずにきました。「職場が楽しいから」というのがその理由です。

それが去年、「そろそろ」と本人が決断したのです。いわば「パートのおばさん」の退職ですから、送別会などの特別な行事はなかったようです。

妻は「花束ぐらいはもらえるかな」と考えていたと言います。その日その夜、妻が家に帰ってきたとき、その手には紙袋がありました。

妻は「こんなものもらっちゃた」と言います。私が袋の中をあらためてみると、それは犬のぬいぐるみでした。わが家の愛犬そっくりです。

妻のパート仲間が、みんなで作ってくれたのだそうです。6人のパートさんが少しずつ作って、バトンタッチしながら完成させた犬のぬいぐるみ。

モデルはわが家の愛犬です。黒い柴犬です。妻が職場でよく話していたのでしょう。妻からその犬の話を聞かされていた職場の同僚のかたたちが、「一番喜んでもらえる物」と考えて、作ってくれたのです。

それを見ておどろきました。そっくりだったからです。ふだん妻が職場でいかに愛犬自慢をし、写真を見せていたかわかります。

同僚の方には迷惑だったにちがいありませんが、

それを退職祝いにしてくれた、そのお気持ちには私も深い感慨をおぼえました。

今、テレビの横に、そのぬいぐるみはいます。

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