退職祝い|定年後に途方に暮れないために

父の退職祝いに私が贈ったのは、某映画館の年間会員券(約1万円)でした。

会員になれば、1年で何度でも無料(?)で映画を観ることができます。その映画館は、今では東京でも数少なくったいわゆる「名画座」で、昔で言う「二番館」。

封切の新作映画を少し遅れたタイミングで、二本立てで上映しています。流行りのシネコンとは違い、昔ながらのスクリーンやシートがあり、「懐かしい」雰囲気の劇場です。もちろん、デジタルではなく、フィルムで上映しています。

父は30年以上保険会社に勤務し、仕事一筋、趣味らしい趣味も持たない人でした。

私は、そんな父が定年退職後、何をしたらいいか途方に暮れるだろうと思っていました。

そこで、退職のお祝いには、新しい挑戦に役立つであろう、ゴルフのクラブセット、ガーデニングの道具なども考えましたが、結局、名画座の年間会員券を贈ることにしたのです。

昔、母と二人でよく映画館へデートに行ったという話を思い出したからです。プレゼントしたときは、「なんでこんもの?」という顔をし、嬉しくもなんともないような反応でした。

しかし、その後、ときどき映画館に通っていると聞き、贈ってよかったと思っています。

最近では、携帯電話のメールも始め、映画の感想の私に送ってくれるまでになりました。その名画座で観た映画だけでなく、テレビやDVDで観た作品も含めて。

ジャック・ニコルソンがリタイア後の初老の男性を演じる『アバウト・シュミット』、同じくニコルソンと、モーガン・フリーマン主演の『最高の人生の見つけ方』など、自らの境遇に重ねられる映画に特にシンパシ―を感じるようです。

いつか、いえ、近いうちに、父と一緒に映画館に行ければなと願っています。

Pocket