退職祝い|祖父の晴れ晴れとした顔

祖父が75歳の頃、16歳から60年働いていた会社を退職することとなり、祖父の兄弟7人とそれぞれの配偶者、私たち家族で集まり、退職祝いをしました。

私は中学年生で、祖父の兄弟たちに囲まれて、大勢の中に混じって、歌を歌ったり、お酒を飲んだりしているのを見ていました。

祖父は7人兄弟の長男で、うちは農家だったのですが、これからの時代は農家よりも勤めに出た方がもうかるということで、酪農に就職しました。

祖父の父は農家を手伝ってほしく、初めは安月給だった祖父に対して、ぐちぐちと文句を言っていたようです。

そして第二次世界大戦があり、祖父は出征しました。事務をしていた経験から、軍隊でも経理などを担当していたようです。

戦争から戻り、祖母と結婚して、再び勤めを始めました。自分の利益より酪農全体の利益をと考えて動いた祖父は、会社でも一目置かれて大事にされていました。

会社は大きくなり、それまで貧しかった我が家でしたが、私の父の代からはしっかりと教育をつけることもでき、家も建て直したりと、発展していきました。

私たち三人の兄弟も、それぞれ好きなように学ばせてもらい、お金の心配をすることなく、大人になることができました。

それは母や父のおかげでもあるのですが、祖父が頑張って、その基礎を築いてくれたおかげです。

ばりばりと夜遅くまで働いていた祖父でしたが、60歳を過ぎて一線を退き、アドバイサーとして75歳まで勤めあげました。

家族の為に、そして会社の発展のために、まさに尽くした祖父の生き方は素晴らしかったと、今でも思います。

祖父は数年前に亡くなりましたが、

あの退職祝いの日に、みんなにお祝いをされて、やりきったという晴れ晴れとした祖父の顔は忘れられません。

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